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伊豆高原の移住は失敗だった?東京から伊豆高原へ移住した6年間で経験したこと

東京から伊豆高原へ移住した6年間で経験したこと

2011年6月から2017年7月までの約6年間、伊豆高原で暮らしました。2011年当時、近い将来に子供が生まれた時、田舎で子育てしたいという漠然としたイメージがあったのと、関東への原発の影響がどのようになるか予測がつかなかったこともあり、とりあえず、夫婦2人の身軽な状態の内に生活拠点を変えてみようという安易な意思決定でした。

なぜ、移住先に伊豆高原を選んだのか?

移住先に伊豆高原を選んだのは、海が見えるリゾート的な環境で温暖なところがいいという、すごくミーハーな感情と、会社の事務所は都内にあり、頻繁には通いませんが、距離的にあまり東京から離れていないという理由からで、事前調査も2泊3日くらいの小旅行しか行わず、地域の詳細な精査などは、ほとんど行いませんでした。

運転中に野生の鹿に遭遇することもある伊豆高原

ベランダから海の見える伊豆高原の一軒屋を借りる

現地の情報などほぼ知らないままネットで賃貸住宅を検索して、決めたのが伊豆高原別荘地にある一軒家。築30年以上ですが、モダンなデザインで、延床面積160平米、屋根付ガレージ、広い庭、2階のベランダからは海が見える立地と都内の狭いマンション生活とは異なり、開放的で暮らしやすい感じでした。

伊豆高原の別荘地で借りていた一軒家

【伊豆高原移住の想定外①】雨の多さと湿気、庭の草刈に疲弊

伊豆高原の別荘地は、静岡県伊東市の南端に位置します。気候は温暖ですが、年間降雨量が全国4位。また湿度も高く、梅雨の時期に下駄箱の革靴にカビが発生するなど、ジメジメする時期がありますが、真夏は東京に比べると過ごしやすかったです。

大室山から見下ろす景観

富士山もキレイに見える場所がいくつかります

山焼きの後の大室山を見上げる公園

ただ、草刈が大変でした。借りた家の庭は、広さが100平米くらいありましたので、庭の草を刈るのに、エンジン駆動の刈り払い機で1時間半くらいかかりました。また、せっかく草刈をしても、雨が降って1週間もすると雑草がにょきにょき生えてきて、本当に春先から秋までは、草刈に追われる日々が続きます。

草刈りBefore/After

さらに夏場は、蚊の対策に追われ、屋外でバーベキューなどは、とてもじゃないけど出来るような状態ではなかったと記憶しています。

【伊豆高原移住の想定外②】超高齢社会を先取り

伊豆高原の別荘地に住む方々の大半は、リタイア組です。子育て世代や現役世代は本当に少なく、所属していた自治会の年齢構成は、40代の筆者が最年少で、2番目に若い方が59歳。70代、80代の方が大半という超高齢社会の縮図がそこにありました。

特にお年寄りが多いからという理由で、問題が発生している訳ではなかったですが、伊豆半島自体に病院が少なく、町のクリニックは、老人であふれて慢性的な診察渋滞です。また、大きな病院や大学病院へは、車で1時間半くらいかかります。ようやく辿り着いても、さらに待たされるので、ほぼ1日が、それでつぶれてしまいます。

最も大変なのが、リタイアされて悠々自適な別荘生活を楽しまれている老夫婦が、また都会に戻られることが少なくありませんでした。理由は、病院です。伊豆高原は車がないとどこにも行けませんし、高度な医療が必要な場合、車で1時間半かかるところまで通わなければいけません。そういった理由から、やむなく医療が充実している都会に戻られていくのでした。

【伊豆高原移住の想定外③】幼稚園の送迎が大変

移住後に生まれた長女の幼稚園をどこにするか?という問題がありました。最も近い公立の幼稚園でも車で10分かかります。加えて、園児同士のトラブルから片方の保護者が幼稚園を訴えるなどトラブル話が絶えない園でしたので、選択肢から除外。

結局、少ない選択肢の中から車で30分かかりますが、私立の幼稚園に通わせることにしました。伊東市の中心地にあるその幼稚園は「モンテッソーリ教育」を行っているところで、都会にある同類の幼稚園よりも授業料も安くとても魅力的な園でした。

山のくねくね道を片道15km、娘の送迎で毎日2往復60km。これにはさすがに疲弊しましたが、この機会に電気自動車を購入して、ガソリン代を大幅に削減する体験出来たのはプラスでした。

毎日2往復60kmの送迎のために購入したEV

【伊豆高原移住の想定外④】地域住民とのトラブルなど

さて、移住で最も重要なのが近隣や地域住民との関係です。この関係構築がうまくいかないと移住はほぼ失敗ということになると思います。

筆者の住んでいた伊豆高原の別荘地住民の方々は、大半が都会からの移住組でしたので、常識的な方が多く近隣トラブルは皆無でした。自治会や近隣の付き合いは極めて良好であったと思います。

しかしながら、その別荘地以外の地元住民には、いろいろと迷惑をかけられました。

例えば

【駐車中の大きな事故】

・病院の駐車場に車を止めていたら、サイドブレーキをし忘れた車に尻アタックされた
・駅前の駐車場に車を止めていたら、中型トラックがぶつかってきた

いずれも、車に誰も乗っていない駐車中の事故で、相手方の過失100%でしたが、1年に2回も愛車が無残な状態にされました。

【駐車中の小さな事故】

・3回、駐車中にドアパンチ攻撃を受けた(犯人不明)

都内に住んでいた時、1度だけドアパンチを受けたことがあります。その方は、ちゃんと名乗り出て謝罪と補償をしてくれたのですが、伊豆では、6年の間に3回も犯人不明のドアパンチ攻撃を受けたのです。とても不愉快な気持ちになったのを覚えています。

【傷害事故】

・小雨で霧が出ている天候でのゴルフのラウンド中に、後ろから打ち込まれて負傷

ラウンド中に後ろの組のプレーヤーに打ち込まれて、ボールが頭部に当たりケガをしました。打ち込んできた加害者は地元民、その場では、謝罪して補償するといいましたが、治療代の一部を払っただけで、その後は何も出来ないとなり裁判に。2審で実質勝訴の和解となりましたが、十分な補償は得られませんでした。

このように、自分たちは何もしていなくても大きなトラブルに遭遇しました。他にも些細な面倒事がちょくちょくありました。

地元民のモラルやコミュニティ、公共の場での振る舞いなど、総じていえば、20年前にタイムスリップしたような感じです。やはり周辺住民の”民度”は、生活していく上で非常に重要だということを学びました。

伊豆高原への移住は失敗だったのか?

2017年夏、筆者は静岡県の伊豆高原から長野県の西軽井沢に移住しました。伊豆高原を離れた理由は、いくつかあります。

・学校の選択肢が少なく、通学が困難
・交通マナーが悪く、事故に巻き込まれやすい
・地域の民度が低いため、望まないトラブルに巻き込まれる
・かかりつけの病院が見つけにくい

子育て世代であった筆者家族は、子供を安全な環境で安心して育てていきたかったので、交通事故が多く、一方的な加害を受けるなどトラブルが絶えない地域では永住するのは難しいと判断しました。病院も選択肢が少なく気軽に相談する医院が見つけにくいことも問題でした。

ただ、この伊豆高原での移住経験が、次の移住先を選ぶ際に大いに役立ちましたし、予想以上にすばらしい地域へ移住することができました。失敗は成功のもとであったと思います。

移住に失敗しないためのチェックポイント

最後に6年間の移住体験で学んだ「移住に失敗しないためのチェックポイント」を参考程度にまとめておきます。

【移住先の民度を図る】

移住候補地の民度を図る方法として、次のことを調査しました。

都道府県の交通事故発生率ランキング
 静岡県:0.953%(全国4位)
 長野県:0.519%(全国32位)

全国・全地域の交通事故発生率ランキング
 伊東市:0.819%(全国188位/1930)
 西軽井沢(御代田):0.441%(全国1004位/1930)

上記は、都道府県単位と市町村単位の「100人あたりの交通事故発生件数」の統計です。伊豆高原のある静岡県伊東市は、筆者が体験した交通事故トラブルを裏付けるような数字になっています。子供の安全を担保するためには、可能な限り交通事故発生率が低い地域が望ましいといえるでしょう。

また、事故の内容も重要です。死亡や重傷につながる事故もケガのない車同士のちょっとした接触事故も発生率では、同じ1件です。危険な交通事故の多い地域を判断するには、保険料ランキングが参考になります。

都道府県別 保険料ランキング
 静岡県:47,551円(全国16位)
 長野県:43,435円(全国42位)

保険料と交通事故死者数の関係でもこれはわかりやすい数値だと思います。

愛知県:53,698円(全国1位)=>交通事故死者数189人(全国1位)
島根県:42,368円(全国45位)=>交通事故死者数20人(全国47位)

人口100人あたりの犯罪発生率もわかりやすい指標です。

全国・全地域の犯罪発生率
 伊東市:0.994%(全国760位/1923)
 西軽井沢(御代田):0.706%(全国1149位/1923)

これらの数値はあくまで参考データです。気に入った移住先だけど、今ひとつ決定打に欠ける、よさそうな移住先だけど、何か気になることがあるなどといった場合に参考にしていただくのがいいかもしれません。

【関連情報】

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